次回企画展『ここの出来事』のページを公開しました

 
 
2019年度|鞆の津ミュージアム自主企画展
『ここの出来事』
 
 
太陽が西から昇ってくるのではないことを知ってはいても、東の方角のどのあたりから昇るのか。具体的には、どの山の向こうから、どの家々の間から毎朝、顔を見せるのかは、なかなかすぐには答えられないものです。同じように、自宅で使う水道水はどの水源地から流れてきて、スマホを動かす電気はどこのどんなかたちをした電信柱を通って送られてきているのだろう。あるいは、いま住んでいる街の名前の由来であるとか、毎日通っている道沿いにいつの間にかできていた空き地にもともと何が建っていたのかを、皆目、思い出せない。といったこともよくあることでしょう。
 
いつも変わることなく昨日も今日も明日も到来すると思っているものを日常と呼ぶ、とします。そのようにありふれたなじみのある日常の断片は、ふだん、それほど意識にのぼってくることはありません。身近すぎて特段、注意を向けることがないからこそ、全然知らないことだらけというわけです。とはいえもちろん、誰かに知られていてもいなくても、遠くであれ近くであれ、私たちの日常がくりひろげられるそれぞれの現在地には、固有の自然や歴史や人間関係のなりゆきがあり、それにねざした、あるいは翻弄される無数の生や死があります。
 
本展は、ある特定の地域や空間で経験された出来事やある限られた場所にしかないものをめぐって生み出された表現をお伝えするものです。どんな日常もいつかどこかで必ず終わり、ただなくなって忘れ去られていきますが、現にあった「ここ」のことがらをつぶさに見聞きした結実としてのそれらの表現は、そこにあるのに意識することのなかった日常の幅と厚みを知らせてくれるでしょう。そこには、私たちの様々な「普通」が映し出されているに違いありません。
 
 
【 展覧会情報 】
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会期|2019年10月26日(土)?〜2020年3月8日(日)
時間|10:00〜17:00  
休館|月・火曜日(ただし祝祭日は開館。※年末年始12/31〜1/3は休み)
会場|鞆の津ミュージアム(広島県福山市鞆町鞆271-1)
主催|社会福祉法人 創樹会
協力?|福山市人権平和資料館、特別養護老人ホーム 淡路ふくろうの郷、アノニムギャラリー、スナック銀杏、
越後交通(株)、NPO法人 地域たすけあいネットワーク